息を呑むほど美しいコンクリート住宅

ユトランド半島中部Ikast市。氷河期にできた丘の上に建つPhilipsen一家の住まいは、ブーメラン型のコンクリート住宅。そのインテリアはグローバルで次世代的だ。

Posted at : May 21, 2016

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デザイナーのKasper PhilipsenとショップオーナーのLouise Toftekærは、彼らと2人の娘Freja EmiliaとLuccaが暮らす理想の家を建てるため、5つの計画書を作成。その計画書が完成するには2年の歳月を要しました。いよいよ着工という日、彼らは緊張のあまり待ったをかけそうになりました。彼らとBak建築事務所の建築家Rasmus Bakは、本当にこれで良いのか?という思いに駆られたのです。450㎡のこの大きな家の建築案は、コンクリートを使うこと、ユニークなアングルや曲線を用いることを中心に、素材の組み合わせや、窓や雨戸といった細部のディテールに至るまで幾度となく練られていました。しかし、これらが2年間考え続けた理想の家の答えなのか、と彼らは改めてその計画書を確認しました。そして出た答えは「YES」でした。

「この土地を購入したのは、娘たちと同年代の子どもたちが暮らす住宅街に面しており、この一帯に活気があるように感じたから。そして、氷河期にできた丘が作る急な斜面からは、素晴らしい自然が見渡せたからです。この場所に家を建てるのは簡単なことではありませんでしたが、この難題が私たちに独創的なアイデアをもたらしてくれました。私たちは、ただの四角い箱は欲しくありませんでした。ユニークな、傑作と呼べるような家が欲しかったのです。そしてついに自分たちが望む全てを手に入れました」とKasperは言います。

彼らの要求の高さや、完成した計画案をさらに変更したがる傾向は、依頼者としては煙たがられるタイプかもしれません。しかし建築家Rasmus Bakが嫌がることはなく、彼らの夢を実現させました。

「自分が設計する家に住む依頼者からの高い要求や、相反する意見などへのチャレンジは、私の設計に対する情熱を増してくれます。そして、結果的にとても個性的な家になることが多いのです。今回の依頼は、シンプルで、コンクリートを使ったワイルドな家、ただし木材やディテールでそのワイルドさを和らげる、というものでした。その結果この家は、単に大きくてトラディショナルな新築の箱、にならずに済みました。LouiseとKasperの高い要求を叶えること、傾斜と曲線という課題がある場所に建てる彼らの勇気をサポートし、そして実現できたことはとてもエキサイティングでした」。傾めの原因は、ブーメラン型であること、住宅街側の道路を挟んで変形の中庭を設置したことによるもの。ファサードには数カ所、人が入り込めるスポットがあり、建物に沿って歩いてみればその変則的な形が分かります。これは室内も同様です。次の角もしくは曲線の先には、新しい何かが待ち受けているかもしれない。この先には何があるのだろう?といった本能的な、冒険に出るような感覚にさせられます。そしてその好奇心は、使われている素材の組み合わせによってさらに刺激されるのです。

「コンクリートは建築材料の一つというだけではなく、美学的な要素でもあります。コンクリートには素材感があり、触り心地も良い。また、何で作られているのか、がはっきりと分かる素直な素材とも言えます。だだ、このような大きな家で使うと、雑で無粋な印象になってしまう恐れがあるので、それを和らげる必要があります。この家の場合は、床の一部と窓枠に使用したオーク材がその役割を担っていますが、こうした異なる素材の組み合わせは、屋内外ともに用いることが大事です。全体に統一感が生まれ、感性に響く作りとなることで、細部にもより創造的に遊び心を働かせることができるからです。私は、見た目に美しい建物というだけでなく、インテリアや照明にも自らの理念を反映させることが重要だと考えていますが、Philipsen一家はこの点についてもとても成功していると思います」。

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